花が散るまで

2023年末で無事風俗嬢卒業。元風俗嬢のつぶやき。

さようならかもしれない。



彼女との付き合いは、もう約27年か。

お互いの子供が2才の時からだから。


初めは、子供の音楽教室で出会い

偶然、同じマンションの同じ階に住んでいた。


宝塚や、劇団四季、バレエ…

好きなものが似ていた。


でも、いつもたくさんの仲間と色んな活動をしていた彼女と違い

花は、独りで物作りをしたりするのが好きだったし(それはそれで、仲間もいたけれど)


ベタベタとした女友達とは、ちょっと違って


仲がいいけど、距離感がちょうどいい。

そんな間柄。


たくさん友達がいるのに、

お芝居や、舞台を観た時に

お互いの感想で盛り上がると、

何故かいつも

「花さんと一緒に舞台を観るのが一番楽しい」

と、言ってくれた。


感性がどこか似ている部分があったのかなぁ。


そんな彼女が

確か7年前か。

直腸癌を発症。

翌年に、子宮内膜症。

そのまた翌年に大腸に転移。


明るくて社交的だった彼女が人が変わったようになり、鬱を発症した。


それでも、たまにメールと、年に一度の年賀ハガキで、辛うじて繋がっていた。


私は冷たいのかもしれないけれど、

自分から距離を置いた人には、絶対こちらからアプローチしない。

距離を置きたいと思った本人の気持ちが大事だと思うから。

会いたくない時は、誰がなんと言おうと会いたくないもんね(笑)


でも、たぶん彼女とは

いつかまた再会すると、変な確信はあった。


確信通り、7年ぶり

8月に彼女から会いたいと、メールがあった。


でも、それは最後を覚悟してのメールだったみたい。


癌、再々発。

入院中のメールだった。


「会っておかないと、後悔すると思って。」


なるべく早く会いたいと言われ

9月の初めに彼女の自宅、つまり花の元自宅があったマンションへ行く予定にしていたが、

彼女が体調を崩し、キャンセルになった。


そして、ようやく今日会ってきた。

前日のメールで、

本当は起きていられないかもしれないけど、

またキャンセてしまったら、次いつ会えるかわからないから。


そして、実は要介護3で、もう自分で立てない日も多いから、ビックリしないでくれ。


という内容だった。


それまでの彼女からのメールの内容で

なんとなく察してはいたし、

両親のことで、介護認定について少しだけ知識があったから、

大丈夫、ビックリしないし、

どんな状況でも貴女は貴女だから。

本当に大丈夫なんだよ。

と、だけ返事は返しておいた。


今日会った彼女は、

ガリガリに痩せていて、

ベッドに座っているのも辛そうで、

寝てていいよ、と言うと、

横になったり、少し起き上がってみたり。


専ら、私の近況を聞きたがった。

娘の事、両親の事、そして自分の引越しの事。

話す事は山ほどあったし。


そして最近観た舞台や、落語のこと、宝塚の事も。

笑ったり、ビックリしたりしながら約1時間半。


「花ちゃんは、私の病気のことを聞かないね?」


聞いて欲しいなら、いくらでも聞くよ。


「ううん、いい。」


じゃ、聞かない。


「うん、そうだね。」



なんか、これが最後かもしれないと、思いながらも、


もし、また会いたくなったらいつでもメールをちょうだいね。

と、声をかけたけど。


でも、彼女は曖昧に笑って

返事はなかった。


後でメールがきて、


お見舞いに持っていったお花を、とても気に入ってくれた様子だった。


彼女が大好きな紫色系で、秋の花を使ったフラワーアレンジメントだったんだけど、

ちょっと寂しげなブーケだったかなぁ。



帰りに、別れた元旦那がいる部屋の前まで行ってみた。

入口の表札は、私の手作りだ。

そのまま掛かっていた。


でも、もう

私の名字ではない。

それなのに、作ったその時の事は

昨日のように覚えている。

何度も、色をかさねて、

すごくいい色が出たんだ。

今見ても、すごくいい色(笑)


人の記憶って面白い。


今日の事も

この表札のように、

きっと

忘れられないんだろうなぁ。


空が泣けそうなくらい綺麗だったよ。



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