肉詰めピーマン。
実は、肉詰めピーマンは私の料理のレパートリーには無かった。
まあ、ハンバーグを作れる人なら
誰でもすぐ作れるのだけれどね。
娘が、ピーマンいまいち好きでなかったので。
肉詰めピーマンにするなら、
ハンバーグとピーマンを細切りにして
おかか、醤油炒めにしてほしいと言われたから。
去年の9月。
父が倒れて、福岡へ帰った時。
母も心労で、ちょっとボケていて
ほとんど料理が出来なくなっていたんだけど。
「肉詰めピーマンが食べたい。」
と、手際よく作ってくれた。
「焼くと、肉とピーマンがバラバラになりやすいけれど、
ピーマンの内側の水分をよく拭き取れば大丈夫。」
そんな事を言いながらささっと作ってくれた肉詰めピーマンは
とても美味しかった。
それ以来、時々作る肉詰めピーマン。
考えてみたら、両親と御飯を一緒に食べることはこれからもあるけれど、
母の手料理を食べる事は、もう二度とないのだ。
それでも、
たぶん母の料理の味は、私に引き継がれていると思う。
私の料理の原点は、母の料理。
美味しいと思う料理の味は、母の味だ。
そんな事を考えながら、
ビールを飲みつつ、肉詰めピーマンをつつく。
美味しく焼けたよ。
お母さん…
花