花が散るまで

2023年末で無事風俗嬢卒業。元風俗嬢のつぶやき。

昔馴染みのお客様。

昔馴染みと言っても

1番最初に1年間だけお世話になったお店のお客様。

それでも、多分12年前?

結構長いおつきあいだわ💦


初めてお逢いした頃は、30代後半。


「もうすぐ50になります。」


あらまぁ、ビックリ!

年に4回ぐらいしか来ないけど、

忘れた頃にブラリと寄ってくれる。

たまに会う親戚の男の子が

気がついたらスッカリおじさんになっていた

…みたいな(笑)


そんな年になるかねぇ(笑)

自分が年とるわけだわねぇ。

と、シミジミ。


元々若く見える人だから

最初会った頃は20代後半ぐらいに見えて。

今も30代後半から、40そこそこにしか見えない人なんだけどね。


当時は、ちょっと生意気でやんちゃなところもあったけど、

最近は良い意味で大人になった。

周りが見えるようになってきたなぁと思える(笑)


その彼が、最後の最後

シャワーを浴びながら

「どうしようか迷ったんだけど、

 話を聞いてもらえますか?」

と、前置きして、語ったのは


ずっと同居していたお母様が亡くなったとの事だった。


帰宅すると、いつも元気に

「おかえり〜」と声がかかるのに。

部屋は真っ暗で、居間で倒れて呻いていたらしい。


てっきり熱中症かと思ったけど、違っていて

脳梗塞。


病院で入院して、ものの1週間もせずに 亡くなられたそうだ。


危篤に陥ったのが、auの通信障害の日で、

病院から、彼のケータイに全く電話が繋がらなくて、死に目に会えなかったらしいのだが、


お母様が亡くなった直後、一瞬ケータイが繋がって、お母様の死亡を知ったらしい。


彼も私と同様ひとりっ子で、

お父様は早くに亡くされていたので


「とうとう僕ひとりになりました。」


この言葉に、不覚にも涙がこぼれてしまった。


葬儀など一通り終えて、

ふと私に報告したくなったんだそうだ。


風俗嬢冥利につきる、というか。

ありがたいことだ。

単なる吐け口ではなかったという事か。



「まだ実感がなくて…」


うん。そうだね。

私なんか

もう両親の元を離れて30数年。

でも彼は、ずっと一緒に住んでいた分

多分ポッカリ胸に穴が空いたような気分なのだろうと思う。


お母様の分も、元気に長生きしなくちゃね。

と、別れ際に声をかけると、


「僕、これからも来ていいですか?」

と尋ねられた。


当たり前じゃん!まだまだ私も頑張るから!


珍しく、私が事務所へ戻る大きな信号のある交差点までついてきて、

信号が青になるまで見送ってくれた。


名残惜しげに手を振ってくれた

彼の後ろ姿を見ながら、


まあ、なんだ。

この仕事も悪くないよと、

ひとり呟いた。




は🌸

×

非ログインユーザーとして返信する